1983年NYのハーレムで誕生。全世界で2500公演を果たし、アフリカン・アメリカンのミュージカ ルとして史上最高のロングランを誇る「Mama I Want to Sing」。日本でも1988年の初来日公演が大きな話題を呼び、日本のゴスペルブームのきっかけとなった。 教会のゴスペル隊からスターの座に上り詰めた少女と家族の物語は、1960年代のR&Bシンガー、ドリス・トロイをモデルにした実話で、作品を手掛けたのはトロイの実の妹、ヴァイ・ヒギンセン。チャカ・カーン、シャーリー・シーザーなど、R&Bやゴスペルのトップシンガーも歴代キャストに名を連ねている。


今年、30周年を記念してハーレムで上演されたバージョンは、“The Next Generation”という副題のもと、ヴァイ・ヒギンセンの娘でドリス・トロイの実の姪であるノエル・ヒギンセンがメインのドリス・ トロイ役を務め、注目を集めている。 また、中核となるゴスペル隊は、ヴァイ・ヒギンセンが設立した「Gospel For Teens(ゴスペル・ フォー・ティーンズ)」という音楽教育プログラムで学ぶ300人の中から最優秀メンバーで構成されている。「Gospel For Teensは、ハーレムのゴスペル衰退に危機感を持ったヴァイ・ヒギンセンが、地元の若者を対象に設立した無償の音楽教育プログラムで、米国 4大ネットワークの一つであるCBSの看板番組「60 minutes」がこの模様をドキュメント。厳しい環境 に育ち、人前で歌ったこともないティーンズがゴスペルによって目覚めていく様子は大きな感動を呼び、2012年にテレビ版アカデミー賞であるエミー賞を受賞した。