Photo by: Yusuke Suzuki

 “大迫力のハーモニー。 この作品はリアルストーリーであり、テーマは、家族愛。
 誰もがぶつかる悲しみや、人生の中での絶望感。そんな時、彼らは体を震わせて歌う。そして、手を取り合って共鳴する。
 何度も泣いた。歌は、素晴らしいと感じた。よみがえる、幼い頃に選んだ歌への感情。
 ニューヨーク・ハーレムの小さな劇場で、人々から長く愛され続けるMama, I Want to Sing。19年ぶりの来日公演、次いつ観られるかわかりませんよ! ぜひ会場で、この生の声の共鳴を体感して下さい。“




Photo by: Yusuke Suzuki

 今から27年前、私はあるミュージカルを観る為にニューヨーク、ハーレムのヘクシャーシアターにいた。 私はこれまで、そんなに回数は多くないがニューヨークに来るたびに必ずミュージカルを観ることにしていた。白人の訓練されたオペラ的発声のミュージカルばかりを観ていた私は、ある時「ドリームガールズ」を観て黒人の発声の凄さに度肝を抜かれた。そして、心臓を鷲掴みにされたまま、これからは黒人のミュージカルを観なければと思っていた私の元に、「アフリカ系黒人によるゴスペルミュージカルは凄いらしい」という情報がもたらされた。これは絶対観なければと、ハーレムのヘクシャーシアターに向かった。
 ゴスペルミュージカル「Mama,I Want to sing」はオープニングから鳥肌の連続だった。白人の美しい声のミュージカルに比べ黒人のミュージカルにおけるその声は、そのままストレートにハートに来る。英語が分からなくても鳥肌が立ち、涙が出て来る。 そして終演を迎えた時、シアターの黒人のお客さん全員がスタンディングオベーションする中、涙で顔をグチャグチャにして感動のあまり立ち上がれなくなっている私がいた。ゴスペルという教会音楽だからこそ神に届くような魂を感じてしまうのだろうか。とにかくここまで感動したのは初めてだった。  私はこの感動を沢山の人に伝えたい、このミュージカルを沢山の日本人に観てもらいたいと心から思った。そして事務所アミューズと共に、大勢の賛同してくれる方々の協力を得て日本公演が実現したのである。  日本公演の初日、終演後劇場のトイレでいきなり「三宅さん!凄いミュージカルを日本に呼んでくれてありがとう!」と握手を求められた。久保田利伸だった。本当にこのミュージカルを呼んで良かったと思えた瞬間だった。 そして、今年30周年を迎えた「Mama,I Want to sing」がまた日本にやって来る。この作品は1960年代のR&Bシンガー、ドリス・トロイをモデルにした実話なのだが、今回そのドリス・トロイの実の姪ノエル・ヒギンセンが主役を演じるというのも本当に楽しみだ。 コンピューターに囲まれたIT社会に生きる今の日本人だからこそ、ゴスペルミュージカル「Mama,I Want to sing」を観て、生の声の凄さ、人間の素晴らしさを感じて欲しい。